ニュース&コラム

Kenbiコラム

第4回
「温かいおむすび」と「冷めたいおむすび」。脂肪をよく燃やすのはどっち? [9月8日]

イメージ

「冷めたいおむすび」
 温かいご飯になくて、冷めたご飯にある健康成分が、脂肪の燃焼を促進します。その成分が「難消化性でんぷん」。炊く前のお米の中ではでんぷんは固まった状態ですが、加熱すると結合が解かれます。それが冷えると再び結合して、難消化性でんぷんになります。

 でんぷんと聞くと肥満のもととして女性に敬遠されがちですが、「難消化性」、つまり"消化されにくい"でんぷんに姿を変えることで、腸の中で食物繊維のように働き、私たちの健康に貢献してくれるのです。普通のでんぷんと違って胃で消化されにくいため、小腸で吸収されずに大腸まで届くのが特徴。難消化性でんぷんは、大腸内で腸内細菌の餌となり、「酪酸」「酢酸」「プロピオン酸」という成分に分解されます。

 例えば酪酸は、腸の細胞の唯一のエネルギー源となり、細胞のターンオーバー(生まれ変わり)を促進するという、腸を若返らせる作用があります。大腸から吸収されて肝臓まで運ばれたプロピオン酸には、脂肪の燃焼を促す作用があることも確認されています(図1)。また、冷めたご飯は、温かいご飯と比べて血糖値を上げにくいことが分かっています(図2)。これも難消化性でんぷんの働き。血糖値が上がると、脂肪を体にためこむホルモンであるインスリンが分泌されます。血糖値を上げにくい冷めたご飯なら、インスリンの働きも穏やかになり、脂肪の蓄積も抑えられると考えられます。


vol.4 table1.gif
図1:難消化性でんぷんで脂肪がよく燃える      
12人の健常者に、難消化性でんぷんの含有量を変えた朝食を食べさせ、呼吸商を測定した。呼吸商とは、酸素の消費量に対する二酸化炭素の排出量の比率で、これが高いと糖が、低いと脂肪が優先的に燃えている。難消化性でんぷんの摂取量が多いほど、脂肪がよく燃えることが確認された。

※データ:Nutr Metab(Lond).2004 Oct6;1(1):8.)
※日経ヘルス 2006年12月号掲載






vol.4 table2.gif
図2:冷やしご飯は血糖値を上げにくい     
     
4人の男女(22~43歳)が、150gの「炊き立てご飯」と冷蔵庫で一晩保存した「冷やしご飯」を食べた時、それぞれについて、食前食後の血糖値を測定。冷やしたご飯を食べた時の方が、血糖値の上昇率が低かった。

※データ:日経ヘルス編集部
※日経ヘルス 2006年12月号掲載 







関連ページ

page top