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第24回
傷んだ肌のお手入れに使用されるピーリング。最近明らかになった、ピーリングの仕組みとは?
(1)古くなった肌の細胞を溶かし、下にある新しい肌を表面に出す
(2)古くなった肌�� [9月11日]

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(2)古くなった肌の細胞の働きを止めて肌からはがし、新たな肌の再生を促す

 お肌の生まれ変わりのためには、「古くなったり傷んだりした肌の排出」と「新しい肌の再生」のバランスが大切です。

 特に、強い紫外線や、屋外と屋内の温度や湿度の差が激しい夏を過ごした肌はあなたが考えている以上に傷んでいる可能性があります。
 そんな、夏の終わりにおすすめなのが、傷んだ肌をやさしく取り除く、ピーリング成分が入った化粧品によるホームケアです。ピーリング成分とはグリコール酸、酒石酸、リンゴ酸といったいわゆるフルーツ酸(AHA)。

 ホームピーリングケアは、あまり日本では定着していませんが、肌の生まれ変わりを促す効果的な方法のひとつです。
 実際に、AHAでケアすると、表皮と真皮の間にある基底膜にエネルギー(ATP)が供給され、表皮の細胞が増殖することが確認されています。
 また、同時にこの刺激により、真皮でコラーゲン生成も高まるという指摘も。

 そしてこのほど、どうしてフルーツ酸(AHA)によるソフトピーリングで、傷んでしまった角化細胞(ケラチノサイト)が自然に剥離するのかが解明されました(The Journal of Biological Chemistry:287,25905-25916,2012)。
 また、ここには「肌の細胞にある温度センサー」(TRPV3というセンサーです)が関わっていたのです。

 新たに解明されたピーリングの仕組みを簡単に説明するとこうなります。
1. グリコール酸といったAHAを傷んだ肌に塗布する
2. 肌のPH(ペーハー)が下がることでTRPV3が急激に活性化し、カルシウムイオンを細胞に誘導
3. カルシウムイオンが細胞内で増えると傷んだ細胞が自然に命を終える
4. はがれる

 つまり、無理やり肌をはがしているのではなく、ダメになった肌の働きを止めることで、排出するよう促しているということですね。

 ここで登場したTRPV3と呼ばれるたんぱく質。ケラチノサイトの膜中に存在し、人肌の温度で反応して肌のバリア機能回復に働いたり、鎮痛に作用するといわれています。
もうひとつ重要なのは、このとき働いているTRPV3というセンサーが、「肌のバリア機能を回復する」という点。
 ピーリングは、単に傷んだ細胞を取り除くだけでなく、同時に肌力の再生を促していることがわかってきたというわけです。

 夏に傷んだお肌の細胞を放置しておくのはマイナスです。
 ソフトなピーリングで「古くなった細胞の排出と再生」を促しましょう。

 このように世界の健康情報やエビデンス情報に目を向けることで、いち早く、健康と美容のための正しい行動が起こせるようになります。より効果的にキレイと元気を実現するためには、信頼のおける情報源から情報を入手し、さらにそれを正しく読みとくコツを身につけることが必要です。
 "エビデンスに基づく正しい健康美容情報の提供"を行ってきた日経ヘルス、日経ヘルス プルミエでは、こうしたノウハウをカリキュラムにまとめ、健康美容情報認定講座「健康美容コミュニケーターコース」として編成しました。
 10月11日に開講する第8期では、こうしたエビデンス情報の読みとき方や健康美容トレンドなどを12時間の講義を通じて学びます。さらに毎回、ゲスト講師を招いてトレンドを学ぶ「トレンド体験」では、ファンケル 総合研究所安全品質研究センターの松熊祥子さんを招いて、具体的な商品を交えながら最新の肌科学について学んでいきます。

著者:西沢邦浩(にしざわ くにひろ)

日経BP社 プロデューサー

1961年長野県生まれ。小学館を経て、91年日経BP社入社。開発部次長として『日経エンタテインメント!』創刊や、マイクロソフト社との共同事業『日経BPソフトプレス社』の創業などに携わる。98年『日経ヘルス』創刊と同時に副編集長に着任。2005年1月より同誌編集長。2008年3月に『日経ヘルス プルミエ』を創刊し、同誌編集長を務める。2010年7月より日経BP社プロデューサーと関連会社(株)テクノアソシエーツ、ヴァイス・プレジデントを兼務。

著者:西沢邦浩(にしざわ くにひろ)

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