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第8回
3食の間に小腹がすいたとき、 どんな間食がいい?  (1) 血糖値がすぐ上って満腹感が得られやすいお菓子やジュース  (2) 血糖値が上がりにくく腹持ちがいいナッツ [1月6日]

(2) 血糖値が上がりにくく腹持ちがいいナッツ
 お腹がすいてフラフラしているようなときは、低血糖状態になっている可能性があるので(1)のような血糖値を急上昇させやすい菓子やジュースも可。しかし、ちょっと何かを口にしたい“小腹”がすいたようなときに、(1)を繰り返し口にするのは×。昔と違って、今は「自販機」「コンビニ」「ファストフードショップ」と、いたるところで、血糖値を上げやすい飲料・食品が手に入るから、意識して控えないと危険、とも言えるのです。

 では、なぜ1日に何度も血糖値が急上昇することが危険なのか。それはずばり、糖尿病にかかるリスクを高めるだけでなく、肌の黄ぐすみやたるみの原因になる"糖化"という現象を引き起こすから。
  食事で糖質をとり、それが血管内を巡り始めると、膵臓からインスリンというホルモンが出てきて、筋肉や脂肪細胞に送り込もうとします。急激に血糖値が上が ると、インスリンも大量に分泌される。このような状態が頻繁に、しかも長く繰り返されると、次第にインスリンの分泌量が低下したり、効きが悪くなってき て、血糖値がいつも高い状態になってしまいます。これが糖尿病。
 糖尿病、もしくはその予備軍になって血糖値が高い状態が続くと、体内にあるたん ぱく質に糖がくっついて糖化最終生成物(AGEs)という悪玉物質が生まれます。そして、動脈の内側の細胞が傷ついて動脈硬化が進んだり、心臓病や神経障 害が起こりやすくなるなど、体のあらゆる場所が痛み、老化の速度も早まってしまうのです(図1)。


vol.8 table1.gif図1:食後の血糖値が高い人は心臓病の死亡リスクが高い
糖 尿病に関する疫学調査(DECODA Study)のうち、日本人、日系人を含む5地域6817人を5~10年間追跡調査。空腹時にブドウ糖入りの飲料をとってから2時間後の血糖値(食後の血 糖値)が高いほど心臓病による死亡リスクが高かった。一般的な健康診断で測る空腹時の血糖値とは関連性が見られなかった。
※データ:Diabetologia;47,385-394,2004
※日経ヘルス プルミエ 2009年3月号に掲載


  お肌が気になる女性は特にご用心。食後高血糖による糖化の害が最も出やすい場所として挙げられるのが肌だからです。肌の弾力を保つコラーゲン、エラスチン といった線維はたんぱく質でできていますが、高血糖状態が続くとこれらが糖化し、そのバネのような働きが失われて"たるみ"の原因になったり、糖化して変 色すると、それが"黄ぐすみ"として表れるからです。

 一方のナッツは、そもそもたんぱく質や食物繊維が多いので血糖値は上がりにくい食 品です。また、オリーブオイルに多く含まれるオレイン酸や魚の油(DHA、EPA)と同じ種類のn-3系脂肪酸であるαリノレン酸といった"いい油"が含 まれ、腹持ちが良い(図2)。さらに、不足しがちなマグネシウムといったミネラルの宝庫でもあります。マグネシウムは代謝のいい体を維持するために欠かせ ないミネラルですが、ストレスがかかると尿から排出されやすいことが分かっています。まさに、現代人に欠かせないミネラルですね。
 例えば、くるみでは、心臓病などの生活習慣病リスクが減ったり、乳がんの発症リスクを減らす、という研究があります。最近、アーモンドで糖尿病が予防できるかもしれないという報告もありました。
 ただし、脂肪分も多いので、ナッツの食べ過ぎは肥満のもと。
 1日200kcal、手のひらに軽く1杯程度にとどめましょう。


Vol.8 table2.gif図2:ナッツの油はいい油!
全脂肪分中の主な脂肪酸組成。ナッツには、オレイン酸やαリノレン酸などの「不飽和脂肪酸」が多い。これらは、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす作用を持っている。
※日経ヘルス 2006年10月号に掲載

著者:西沢邦浩(にしざわ くにひろ)

日経BP社 プロデューサー

1961年長野県生まれ。小学館を経て、91年日経BP社入社。開発部次長として『日経エンタテインメント!』創刊や、マイクロソフト社との共同事業『日経BPソフトプレス社』の創業などに携わる。98年『日経ヘルス』創刊と同時に副編集長に着任。2005年1月より同誌編集長。2008年3月に『日経ヘルス プルミエ』を創刊し、同誌編集長を務める。2010年7月より日経BP社プロデューサーと関連会社(株)テクノアソシエーツ、ヴァイス・プレジデントを兼務。

著者:西沢邦浩(にしざわ くにひろ)

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