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健美の賢人インタビュー
 [ 2010年11月9日 ]
   
 

「○○は健康にいい」「ダイエットにはこのサプリ」・・・
そんな情報に振り回されていませんか?

現代人を不健康にする
“情報過多の中の情報欠乏症”

 


神奈川県立保健福祉大学
保健福祉学部学部長 教授
中村丁次 氏

 さまざまな食品が容易に手に入るようなり、食生活が多様化した現代人。健康管理、栄養管理がより複雑化する中、消費者は自身の健康をどう守っていけばいいのか。日本栄養士会会長で、神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部学部長の中村丁次教授に、最新の栄養学の観点から、消費者に求められる情報リテラシーについて聞いた。


― 現在の栄養学のメインテーマについて教えてください。

 18世紀後半に欧州で栄養学が誕生し、ヒトが生きていくために必要な栄養素の探索が本格化しました。その結果、三大栄養素として炭水化物、たんぱく質、脂質が位置付けられ、現在は、ビタミン、ミネラル、食物繊維を加えた六大栄養素という考え方が提唱されています。さらに、ビタミン18種、ミネラル20種、アミノ酸9種、それにブドウ糖と必須脂肪酸の約50種は、必須栄養素として定着しています。
 しかし、当然のことながら、我々の食事は、これらの栄養素を摂取することだけが目的ではありません。食事を通じて、おいしさや楽しさを感じながら栄養をとることで、QOL(生活の質)と健康を維持しています。
 介護施設などでは、消化管に直接チューブを通して栄養を送る方法がとられることもありますが、このような強制的な栄養補給法が普及するほど、逆に、人間はおいしい物を食べないとQOLが上がらない、という議論が生まれます。
 こうした背景から現在の栄養学は、おいしさや満足感、食べ方などの食生活の質と健康をどのように両立させていくかが、重要なテーマになってきています。

健・美・賢人インタビュー:中村丁次 氏
神奈川県立保健福祉大学
保健福祉学部学部長 教授
中村丁次 氏

― 具体的には、どのような研究が進められているのでしょうか?

 何をどのくらいではなく、何をどのように食べたらいいか、という食べ方の研究が主流になっています。具体的には、食品の組み合わせや食べる順番、スピード、回数、時刻、空間(誰とどこで食べるか)などと、健康や栄養状態に関する研究です。
 例えば、最近の研究では、夜遅い時刻の食事は、肥満の一要因になる可能性が示唆されています。喫煙習慣のない健康な女子大学生33名を対象に、500kcalの食事を、7時、13時、19時に摂取する朝型と、13時、19時、1時に摂取する夜型の2群に分け、食事誘発性熱産生(DIT/食事によって消費されるエネルギー)を測定、評価しました。
 その結果、夜型は朝型に比べ、3食合計DITが有意に低いことが分かりました。朝食を抜いて夜食を食べるような食生活はDITが低下し、1日のエネルギー消費量が減少する、つまり太りやすい食生活といえます(日本栄養・食糧学会誌;63(3):101-106,2010)。

― こうした食べるタイミングや回数、スピードといった「食生活の質」に関わる部分は、現在の栄養指導に反映されているのですか?

 残念ながら、現在の栄養指導の中心は「欠乏の栄養学」で、「足りない栄養素をどのように補うか」という点に主眼が置かれています。1日の食事摂取量や摂取カロリーから足りない栄養素を導き出し、補充していくという方法です。これでは、多様化した現代人の食生活・食スタイルを反映した栄養指導はできません。
 現在の日本人の栄養状態は、多食による栄養の過剰摂取、無理なダイエットによる栄養の欠乏・偏りなど、複雑化しています。食事の時刻、スピードや回数も、個人のライフスタイルに左右され、以前のような画一性は失われています。
 こうした現状に栄養指導が対応していくためには、食事摂取状況に加え、身体計測(体組成データ)、生化学検査(血液検査データ)、身体兆候(主訴)を組み合わせた栄養管理手法が必要です。体重、体脂肪などの体組成の変化や血液検査による中性脂肪値やコレステロール値などの結果、日々の生活で感じる身体の変化などと食事摂取状況を総合的に評価し、現代人の多様な栄養状態を把握しようというものです。その上で、「生活の質」も含めて栄養指導を行うことが大切です。この方法は、「栄養アセスメント」と呼ばれ、医療現場でも採用されています。

― 日々の健康に役立てていくために、消費者自身が食生活や栄養管理で気を付ける点は?

 約50種の必須栄養素のうち、たった一つが欠乏するだけで、我々は病気になり、死に至ります。まずは、この栄養素を普段の食事からしっかりバランスよくとることが大切です。
 例えばダイエットに成功しても、必須栄養素を削っているのでは栄養失調状態と同じで、健康的とはいえません。
 ところが、今の日本ではこうした栄養管理の核となる情報が抜け落ち、「○○という成分が健康にいい」「ダイエットにはこのサプリ」というような栄養学の観点からは“枝葉のような情報”ばかりが注目されています。深夜の通販番組では、「このサプリメントで何キロ痩せました」という体験談ばかりが繰り返し放送されています。
 こうした周辺情報に消費者は振り回され、ある特定の成分やサプリメントを過剰に摂取してしまう。これでは、国民はいっこうに健康になりません。いわば、「情報過多の中の情報欠乏症」という事態に陥っています。
 栄養管理に関して、消費者が気軽に相談できる場がないという問題もありますが、消費者自身が情報リテラシーを高め、正しい情報を読み解く力を身につけていくことも大切です。食生活、食スタイルが多様化した今こそ、栄養管理の確かな情報を理解する必要性が高まっています。

― 情報を正しく理解することで、科学的に正しく、効果的な健康管理ができるようになるわけですね。

 大切なのは、自身の健康にとって必要な情報、意味のある情報をきちんと入手し、理解・判断する能力です。
 一人ひとり必要な情報のプライオリティは異なっていますが、これまでマスメディアは、自分たちの言葉で情報を流していました。その結果、情報が増えるだけで、混乱を招き、消費者の理解を深めることを難しくしてしまった。これからは、科学的に解明された事実を、消費者に分かりやすく翻訳して、伝える必要があると感じています。
 その中核となるのが、健康や栄養に関してリテラシーの高い消費者だと見据えています。消費者の目線に立って、消費者に分かりやすい言葉に翻訳し、周囲に伝えていく。それにより、消費者の理解を深め、正しい栄養情報や食生活の普及・浸透を促進していく。リテラシーの高い消費者を育成し、社会構造として、こうしたコミュニケーションの仕組みを作り、活性化させていくことが、求められています。


●中村丁次氏がテキスト監修を担当した「健康美容情報認定講座」の講義詳細はこちら
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