企業講義レビュー(トレンド体験)

第4期

肌細胞に栄養を届ける「めぐりルート」に注目!
美容成分が効率よく働く“効き肌”をつくるには?

テーマ: 「資生堂が考える最新内外美容の方法と効果」

講師:
株式会社資生堂 ヘルスケア事業部
マーケティンググループ
深澤圭さん

深澤圭さん

 7月7日から開かれた健康美容情報認定講座第4期では、最終日の9日に「トレンド体験」の講義がありました。今回のテーマは、美容ケアの主流になっている「内外美容」(外からだけでなく、内側からもケアを行うこと)。
 「美容ドリンクやサプリメントをとっている」という女性は多いと思いますが、<つけるスキンケア>に<飲む美容>を組み合わせることによって、美しさを保つコツはどこにあるのでしょうか? そこで、普段のお手入れに<つける>や<飲む>をプラスする美容プログラム「IN&ON」などを通じ、内外美容の新しいアプローチを提案する、資生堂ヘルスケア事業部の深澤圭さんを講師に、実際の商品を前にしながら内外美容の最新トレンドを学びました。

 キーワードは“効き肌”。

 早速、深澤さんの講義に耳を傾け、内外美容について考えていきましょう。

美容成分を肌細胞で効かせるためには?

 「『キレイになるためには、体の内側から考えることが重要だ』と考えている消費者は、2011年の調査(実施:資生堂)では86.7%に上ります。<つけるスキンケア>だけでなく、<飲む美容>も当たり前に求められるようになる中、<飲む>と<つける>を一体とすることで効果が高まるアプローチを考えてきました」。
 資生堂がこだわったのは、美容成分をきちんと肌の細胞で効かせるということ。そのためには、食事からとった栄養素をきちんと肌の細胞一つひとつに届けて元気な状態に保っておく必要があるそうです。
 「肌に十分な栄養が届かないと、肌細胞の元気がなくなり、せっかくとった美容成分も生かしきることができません。美容成分を補給するだけでなく、それを生かす土台となる肌細胞を元気な状態にすることが大切です」。

毛細血管の衰えを修復して“効き肌”を回復する

 では、どんな状態のときに肌に栄養分が十分に届かなくなるのでしょうか? それは毛細血管が衰えたとき、といえるようです。「若いときの毛細血管は、細胞同士がみっちり接着して『穴』=『漏れ』がない状態を保っていますが、加齢とともにこの接着が弱くなり、毛細血管上に『穴』が生じます。その結果、栄養成分が漏れやすい状態となり、肌のすみずみまで栄養が届かなくなってしまいます。さらにその漏れやすさは、45歳を境に急激に悪化することも分かってきました」。
 「漏れやすい毛細血管は穴の開いたホースと同じで、肌細胞に十分な栄養を届けることができません。毛細血管の衰えを修復し、元気な肌細胞、“効き肌”を回復することが、<飲む美容>に含まれる美容成分を肌で効かせるために大切だと考えました」。そこで資生堂が注目したのがケイヒ(桂皮)エキスだったそうです。有効量のケイヒエキスを繰り返し摂取することで、毛細血管の漏れが修復され、その状態が維持されることを確認しているとのこと。
 毛細血管の痛みが急激に進むという45歳以降には、たるみも大きな問題になってきます。「そこで、顔のたるみ原因の一つになる脂肪の増加を防ぐ方法についても研究を行っています。まずたまった脂肪を燃えやすい状態にするためには、脂肪を分解し脂肪酸として遊離させる必要があります。ここで働くのがカフェインなどの成分。また、遊離した脂肪酸は筋肉でエネルギーとして使い、燃焼する必要がありますが、筋肉の細胞に多く存在するエネルギー産生器官ミトコンドリアに脂肪酸を運び込むのがL-カルニチンです。ほかにも、中国で生薬として使用される「荷葉(かよう、ハスの葉のエキス)」や沖縄などで香辛料として使用されてきたヒハツのエキスの脂肪燃焼促進作用にも注目しています」。
 美しい肌の維持のためには、①肌についての根本的研究が欠かせないこと、②アプローチも多方面から行う必要があること、③個別の働きを持つ成分が相乗効果を起こすよう、有機的に組み合わせるスキンケアを提案しなければならないこと、などが分かりやすく受講生たちに伝わりました。

フェースラインのたるみの原因「あご脂肪」に注目

 ここまでは、資生堂の肌研究の最前線についての講義。
 後半は、具体的な内外美容の方法について学びます。
 この日は、フェースラインのたるみ悩みを例に、内外美容ケアの効率的な方法が紹介されました。いつまでも若わかしくシャープな輪郭を保つには、「あごの下」に着目すべきなんだそう。
 「輪郭のたるみは、実はあごの下にたまった脂肪が原因です。加齢により代謝が低下してくると、あご下に脂肪がたまり、それが重りとなって顔の皮膚全体を引き下げてしまうのです。ですから、<飲む>ケアで全身のめぐりを良くすることや、<つける>ケアで、あご下も含めた輪郭全体の肌を引き締めることが大切です」。
 ここで具体例として、「IN&ON」の「シャープフォーミュラ マスク」が紹介されました。このマスクは、なんと耳に引っ掛けてつけることで、あご下から頬までを物理的にグッと引き上げる画期的なアイテム。肌がしっかり引きあがることが一目で分かります。
 「あごをグッと持ち上げた状態のまま外れないマスクの開発が難しかったですが、耳にかけることで解決。手を放しても大丈夫なので、マスクをしたまま家事をすることもできます」と深澤さん。実際にマスクを着用した深澤さんは、しばらくそのままの状態で講義を続け、しゃべったり、日常的な活動を妨げないことを実証してくれました。

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継続させるコツは、肌日記にあり

 講義の最後には、『日経ヘルス プルミエ』前編集長で健康美容情報認定の講師を務める西沢邦浩さんが参加し、受講生たちとのディスカッションが行われました。
 「内外美容の効率を高めるために、普段の食生活や生活習慣で気をつけるべきことは?」という受講生の質問に対し、「食品や飲料の美容効果に関するエビデンスは、最近になってようやく出てきたところ。今後、他の食品、成分との組み合わせや生活習慣との関連についても研究が進んでいくと思います」と西沢さん。
 深澤さんは、「内から美容成分をとることも大事ですが、マッサージなどの物理的なスキンケアも内外美容では積極的に取り入れてください」と話します。
 また、「1989年にマサチューセッツ総合病院(MGH)およびハーバード医科大学と共同で、アメリカボストンのMGH内にハーバード皮膚科学研究所『CBRC(MGH/Harvard Cutaneous Biology Research Center)』を設立し、肌の基礎研究を進めています。ケイヒエキスに注目したのもここでの研究成果があったからこそ」と深澤さん。西沢さんが、「ある美容成分では、<つける>より<飲む>方が効果が高かったというデータもあります。内側からのアプローチはますます重要性が高くなってくるでしょうね」と付け加えました。
 内外美容の実感をしっかり得るためには、何よりも続けることが大事。でも、「なかなか続かない」という人のために、深澤さんが続ける秘訣を披露してくれました。
 「確かに続けることは大変ですが、続けておられるお客様から学んだコツがあります。それは、肌日記を付けること。ささいなことでも構わないので、毎日のお化粧やスキンケアで気付いたことを手帳に書くだけでも、継続する気持ちがわいてきます」。

 最先端の内外美容研究から具体的なスキンケア方法、そして継続するコツまで学んだ90分。これからの新習慣として、内外美容を取り入れていきたいですね。

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