企業講義レビュー(トレンド体験)

第1期 vol1

日本が誇るNo1食材 大豆のパワーとそれを生かす方法を考えよう

テーマ: 「ミラクルフード大豆の無限の可能性」

講師:
大塚製薬 ニュートラシューティカル事業部 製品部部長
(兼)SOYSH プロダクトマーケティングマネージャー
高谷浩司さん

高谷浩司さん

 かれんな大豆の花のスライドで幕を開けた、第1期の「トレンド体験」の講義は、大豆利用の歴史から次々に解明される最新の研究へと進んでいきます。そして、こんなに素晴らしい食品であるにもかかわらず、残念ながら私たちの日常から次第に大豆の影が薄くなりつつあることに警鐘を鳴らします。だからこそ、手軽にその無限の力を口に出来る大豆製品を開発し、日本のみならず、世界に広めることで、食糧や環境の問題を解決することができるのではないか――と、同社が提唱する「Soylution(Soy(大豆)+solution(解決))」への思いが語られました。
 途中、そのメッセージを込めて作られたCMも上映されましたが、大塚製薬が大豆にかける熱意に鼓舞されつつ、生徒さん一人ひとりが大豆の重要性について考えました。

 そもそも第1回目に、大豆製品開発に力を注ぐ大塚製薬さんをお呼びした理由は、大豆が、古くから日本人の食生活、健康を支えてきたもっとも大切な食材の一つであり、近年、様々な研究が続けられ、その重要性が明らかになってきたから。――― まさに、開校記念にふさわしいテーマだと、プログラム委員会は考えました。
 さあ、一緒に高谷さんの講義に耳を傾け、あなたがどのように大豆と接しているかを振り返りつつ、この大切な食材についてじっくり考えてみませんか。

約5000年前から始まる「大豆」の歴史

 まず高谷さんは、「大豆は、中国東北部からインドにかけての地域で誕生したと言われています」と、大豆の歴史を紹介することから講義を始めました。約5000年前から栽培され始めた大豆は、縄文時代後期に日本に伝来し、様々な加工食品が開発されていったと語ります。
 「鎌倉時代以降、殺生を禁止されている僧侶の貴重なたんぱく源として普及する中、よりおいしく食べるために、味噌や醤油、納豆、豆腐、湯葉など多様な大豆加工食品が誕生しました」
 「1873年のウィーン万国博覧会で、日本は伝統的な大豆食品を紹介、この食材が世界的に認められるきっかけになりました。『大豆は畑でとれる肉である』と発言したのは、オーストリアの学者ハーベルランドで、大豆の栄養価の高さを物語っています」

世界五大健康食品の1つ「大豆」

 大豆には、たんぱく質、脂質、食物繊維、糖質などがバランスよく含まれています。
 「必須アミノ酸のバランスからたんぱく質の栄養価を評価するアミノ酸スコアを見ると、大豆は、牛肉や卵と同じく100。これは必須アミノ酸がすべて100以上含まれていることを意味しています(図1)。また、大豆は世界五大健康食品の1つに数えられているほど(米国の健康専門月刊誌『ヘルス』 2006年3月号。他の4つは、キムチ、ヨーグルト、オリーブ油、レンズ豆)」
 非常に栄養価の高い大豆に、世界中の研究者が注目。現在でも様々な研究がおこなわれています。大豆についての研究の一部を、講義中でご紹介いただきました。「こうした栄養価の高さを裏付けるように、最近でも様々な大豆に関する研究結果が発表されています。1999年には、米国・食品医薬品局(FDA)が、『1日に25g以上(1食6.25g)の大豆たんぱく質の摂取は、心臓病のリスクを減らす効果がある』とのヘルスクレーム(健康強調表示)を許可しました。また日本でも本年2月に厚生労働省の研究班による大規模調査の結果が米国栄養学会発行の医学誌に発表されました」

図1:牛肉、卵と同等のアミノ酸スコアを示す大豆

新製品『SOYSH』は、豆乳が嫌いな人でも飲める製品を目指した

 続いて、大豆の栄養成分に着目した大塚製薬の商品『SOYJOY』『SOYSH』が、受講生に配布され、実際に試食・試飲しながら、その開発秘話が紹介されます。
 「大塚製薬では、大豆が地球上の食糧問題・健康問題・環境問題を解決できるのではないかと考え、『Soylution』というキーワードのもと、大豆をまるごととれる新しい形の大豆製品を開発しています。『SOYJOY』は、大豆を丸ごと粉にする技術をベースにして作りましたが、血糖値の上昇がゆるやかな低GI食品としても認知され、今では米国、中国、台湾など世界7カ国・地域で販売されています。

 また、続く第二弾『SOYSH』は、“大豆を食べ慣れていない外国の人々にも、大豆特有のにおいや後味を気にせずに飲んでもらえるように”との思いを込めて開発されました。このSOYSHの開発には、豆乳や牛乳を飲めない研究員が、“自分でも飲める大豆飲料”を目指して開発した背景があります。
 その研究員が着目したのが「炭酸」でした。炭酸飲料にして、さわやかな飲み口の大豆飲料ができないか。しかし、豆乳や大豆液には、炭酸を入れると固まってしまうという性質があります。これを独自の技術でクリアし、今年7月に大豆と炭酸をあわせた新感覚の“大豆炭酸飲料”として発売しました。じわじわとファン層を拡大しており、現在は通信販売のみですが、将来的には、店頭での販売、そしてグローバルでの展開も考えています」

大塚製薬の「SOYSH」

『SOYJOY』『SOYSH』を味わいながら、最先端の大豆研究にまで及んだ白熱の90分。生徒の皆さんは、みんな何かをつかんだようでした。

第1期 vol2へ

関連ページ

page top