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アジア富裕層を狙うエバーライフ「皇潤」――新規成分「iHA」の臨床試験も開始~エバーライフ代表取締役社長浅井克仁氏に聞く [2月20日]

 ひざ関節系の健康食品を代表するブランドに成長したエバーライフの「皇潤」。シリーズ販売1500万箱という圧倒的な支持を獲得した同ブランドが、次の市場として狙うのがアジアだ。昨年3月に台湾子会社を設立、12月にLG生活健康と資本業務提携に合意。急速な経済成長が期待されるアジア市場に向けた体制を整え、アジア富裕層を皮切りに、増加する中間所得層に広げる絵を描く。 競合品が多い健康食品市場において、差別化戦略として重視するのがエビデンス開発と「カスタマーフレンド」と呼ばれる電話オペレーターの顧客対応力の強化だ。2011年6月に就任した浅井克仁代表取締役社長の指揮の下、新規の機能性素材開発だけでなく、医薬品や再生医療も視野に入れ共同研究体制を構築。卵黄から抽出した機能性成分「iHA」のひざ関節痛軽減効果を検証するヒト臨床試験を1月から開始した。また、自社教育プログラムに健康美容情報認定講座を取り入れ、カスタマーフレンドの研修体制を強化した。アジア、研究開発、社員教育をテーマに、浅井社長に話を聞いた。

まずは台湾。LGとの提携でアジア展開を強化
――「皇潤」はひざ関節系の健康食品を代表するブランドに成長した。

asaipre.jpg 2003年の発売以来、シリーズ販売1500万箱を達成し、ひざ関節系の健康食品として"皇潤ブランド"を確立することに成功した。メインのユーザーはひざ関節に悩みや痛みを抱える60~70代の高齢者が中心だが、昨年夏にリニューアルを行い、「皇潤プレミアム」「皇潤ホワイト」「皇潤スポーツ」をラインアップした。
 たとえば「皇潤スポーツ」は、スポーツを楽しむ40~50代をターゲットに、痛みを感じてから飲むのではなく、予防的に飲んでもらう商品として提案している。若い時から皇潤に親しんでもらうことでユーザーの裾野を広げていく。
 今後は、国内市場で確立した皇潤ブランドを、中国をはじめとしたアジア市場に展開していく。そのために、2012年3月に台湾に健康食品の販売事業子会社を設立、昨年12月には韓国のヘルスケア企業最大手であるLG生活健康(LG Household&Health Care社)と資本業務提携に合意し、アジア進出に向けた基盤を強化した。

――LG生活健康との業務提携の狙いは?

 LG生活健康は、韓国で3000億円程度のビジネスを展開している。韓国ではシェアナンバー2の化粧品メーカーで、昨年2月には銀座ステファニー化粧品を買収し、日本市場に参入している。
 今回の業務提携は(1)LG生活健康の化粧品の日本市場への展開、(2)中国・東南アジアの富裕層市場の共同開拓、の2つを主な目的としている。(1)については、我々が持っている顧客リストやコールセンターのインフラ活用がベースになる。ダイレクトマーケティングを通じてLG生活健康の化粧品を販売していく上で、我々が持つこれらの資産は有効に機能するだろうと考えている。
 (2)については、「皇潤」のアジア展開強化につながると見ている。価格帯を考慮すると、アジア市場での「皇潤」の位置付けは、高級サプリメントになる。同様に、LG生活健康の化粧品も高級化粧品として台湾や中国などの富裕層を顧客にしており、まずはクロスセールスを通じて富裕層市場でブランドを確立していく。その上で、中間所得層を対象に通販事業を展開し、アジア市場開拓を本格化させる。
 2013年1月末には、台湾での「皇潤」の販売許可も下り、3月には台湾の富裕層を対象にした講演会も予定している。中華圏の人々は、横のつながりを大事にする文化があるので、まずは富裕層の間で口コミが伝播するマーケティング活動を積極的に進めていく方針だ。

「iHA」のヒト試験を開始。ひざ関節痛改善効果を検証へ
――国内、アジア市場、共に競合製品も多い。具体的な差別化戦略は?


 「皇潤」は低分子ヒアルロン酸をメイン素材として訴求しているが、ロコモティブ・シンドローム*1対策では、グルコサミンやコンドロイチン硫酸など競合商品・素材も多い。「皇潤」にこれらの素材を新たに加えることは難しくないが、それだけでは市場からの評価や差別化につながらない。
 そこでここ数年、研究開発を強化し、独自成分やエビデンス開発を積極的に進めている。その1つが、ファーマフーズ(京都府)と共同で開発を進めている卵黄抽出ペプチド*2「iHA(アイハ)」だ。まだ動物実験のレベルだが、ある種のコラーゲンと組み合わせることで、軟骨細胞の増殖やヒアルロン酸の産生が高まる効果を確認している。軟骨細胞のHAS2と呼ばれる遺伝子の発現をオンにすることでヒアルロン酸の産生が増えるのがそのメカニズム。現在、iHAは「皇潤プレミアム」に配合しているが、今後、ヒアルロン酸産生効果の高いコラーゲンの組み合わせを検証し、次のリニューアルに反映させていく。今年1月からは、iHAのヒト試験も開始した。ひざの痛み等何らかの自覚症状がある48名の被験者を対象にした24週間のランダム化比較試験*3で、iHAのひざ関節痛に対する効果を検証していく。
 また、これまで軟骨細胞を再生させる有効な医薬品成分は開発されていない。iHAから特定のペプチドを分画し、軟骨再生に寄与する有効成分を特定できれば、医薬品成分としての可能性も広がると見ている。
 帝京大学医学部整形外科の松下隆主任教授、ツーセル(広島県)と共同で関節軟骨の再生医療研究も進めている。自家の滑膜由来の幹細胞を培養・移植する動物実験モデルを構築し、軟骨再生の有効性を検証している。有効性が確認されれば、今秋にも厚生労働省にヒト臨床試験の申請を行う予定だ。


――ひざ関節をテーマに、健康食品だけでなく、医薬品、細胞治療までカバーする体制を整えた。今後の注力テーマは?

 今後、高齢者のさらなる増加が予想される中、健康食品メーカーとして何ができるか考えたとき、広い意味でのアンチエイジングの啓蒙が必要と考えた。健康寿命を延伸し、国民のQOL(生活の質)を向上させていくためには、アンチエイジングを通じた疾患予防の重要性を国民に広く浸透させる必要があるからだ。一環として、2012年4月に茨城キリスト教大学の板倉弘重名誉教授を所長に迎え「年齢研究所」を設立した。加齢に伴い体に生じる様々なトラブルを「年齢リスク」と捉え、それを回避する研究開発に取り組んでいく。
 例えば、「新厄年」の提唱もその1つ。厄年は、健康管理の面で注意が必要な年齢としてイメージされているが、平均寿命の延伸やライフスタイルの変化に伴い、疾患の発症リスクも変化している。年齢研究所では、20~73才の75万人のレセプトデータを対象に要介護・要支援の原因となる6大疾患(脳血管疾患、認知症、変形性ひざ関節症、骨粗しょう症、虚血性心疾患、糖尿病)に、がんを加えた7疾患の性別・年齢別の発症率を分析した。その結果、特に、発症リスクの上昇するターニングポイントが、男性:24歳、37歳、50歳、63歳、女性:25歳、39歳、52歳、63歳であることが判明し、「新厄年」として定義した(図1)。このように統計的に裏付けされたリスクに応じて対策することが、健康寿命の延伸につながると考え、活動している。

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健康美容情報認定講座を自社教育プログラムに採用
――共同研究の成果や年齢研究所の取り組みを、どのように事業に結び付けていくか?


 注文は電話経由が多いが、大半のユーザーはインターネットを利用している。以前は、テレビCMやインフォマーシャルを見てすぐに電話注文するユーザーが多かったが、今はテレビを見た後、インターネットで関連情報や他社製品などを調べてから電話をかけてくるケースが多い。60代、70代でもタブレット端末を利用しており、情報レベルは上がっている。
 電話をかけてくる人の多くは、何らかの健康上の悩みや不安を抱えていたり、商品や成分に対して疑問を持っていたりする。電話対応するカスタマーフレンドは単に注文を受けるだけでなく、ユーザーからの幅広い問い合わせや質問に対し、適切に答えることができないと、販売機会をロスする可能性がある。当然、会社に対する評価も低下してしまう。
 そのためカスタマーフレンドには、ユーザーとコミュニケーションする上で「守り」となる薬事法や景品表示法などの法規制に関する正しい知識やエビデンスの理解とともに、「攻め」となる健康や美容に関する体系的な知識、情報感度、コミュニケーション能力等が求められる。その上で、我々の研究成果や年齢研究所の取り組みを、ユーザーに伝えることが大事だ。地道な取り組みだが、教育を通じてカスタマーフレンドのスキルやモチベーションを高めることが近道と考えている。
 そこで、外部の研修プログラムや資格制度を検討した結果、健康美容情報認定講座を自社教育プログラムに取り入れた。ユーザーとの対話で実践的に活用でき、かつ学びの楽しさを実感できる講座内容を評価している。すでに2013年1月に30名のカスタマーフレンドが受講した。今後、健康美容コミュニケーターとして、ユーザーとのコミュニケーションを深化させ、活躍していくことを期待している。

*1ロコモティブ・シンドローム:ロコモティブとは、骨、関節、筋肉といった体を動かす「運動器」のこと。運動器の障害のため将来寝たきりになる危険性が高い状態を「ロコモティブ・シンドローム」と呼ぶ。略して"ロコモ"。
*2ペプチド:たんぱく質が分解され、アミノ酸が数個~数十個、鎖状につながった構造をしているもの。原料のたんぱく質の違いにより、コラーゲンペプチド、大豆ペプチドなどと呼ばれる。
*3ランダム化比較試験(RCT:Randomized Controlled Trial):対象者を2つ以上のグループに分けて治療や食品成分の摂取などを行い、その効果を比較する試験。最も妥当性が高いとされる試験方法であり、現在、医療現場で使用される医薬品のほとんどはこの方法で有効性が証明されている。


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