Kenbiコラム
第11回
UVケアをしっかりしている人はカゼを引くリスクが高くなる。○か×か [2月7日]
- ○。しかも魚嫌いならもっと危険!
- 「UVケアは美肌のための大前提でしょ」という方。しょっちゅうカゼを引いたり、のどが痛くなったりしませんか? シミ、シワなどの原因になる紫外線の害=光老化を防ぐためにUVケアは欠かせません。しかしその一方で、UVケア化粧品や帽子、腕から手の甲までしっかり覆う手袋などを用いてカンペキな紫外線対策をしていると、健康維持にかかせない大切な栄養素不足し、免疫力が落ちてカゼなどの感染症にかかりやすくなる危険性があるのです。さらに、魚をあまり食べないという人ではぐんと危険性が高まるのです!
その栄養素とは、ビタミンD。
あなたはビタミンDを意識して摂取していますか? ビタミンCやカルシウムのことは気にしていても、ビタミンDのことは、あまり考えたことがないという人が多いのでは?
日本ではまだあまり話題になっていませんが、ここ数年、世界ではビタミンDと病気のリスクについての研究が急速に進んでいます。丈夫な骨を保つのに必要な栄養素であるということは知られていますが、この他にも感染症やがん、動脈硬化、心疾患、糖尿病、うつ病、自閉症、アレルギー性疾患とも深い関わりを持つことが分かってきました。
ビタミンDは、太陽の光を浴びれば肌で合成できます。でも、1年中UVケアコスメを使い、紫外線対策はバッチリという女子は要注意。さらにUVケアに無頓着なあなたも、日差しの弱い冬場は、特に血中のビタミンD濃度が低くなり、免疫力が落ちてカゼを引きやすくなっているので他人事ではありませんよ。
では一体どのくらいのビタミンDを摂取すればいいのでしょうか――。現在、日本で推奨されるビタミンDの摂取量の目安は1日5.5μgです。これは骨軟化症や骨密度の低下を防ぐために必要な最低ラインであり、免疫力アップや生活習慣病、精神疾患の予防のために必要とされる量は、国内外の多数の研究報告を総合すると10~50μgと考えられます。
こうした研究報告を背景として、米国医学研究所は2010年11月末、米国のビタミンD推奨摂取量の引き上げを決めました。新基準では、なんと従来の3倍(1~50歳の場合)にあたる1日15μgの摂取をすすめています。また「これ以上はとらないほうがいい」という目安となる上限値も、従来の50μgから100μgに引き上げられました。
ところで日本人女子のビタミンD摂取量ですが、30~39歳の場合で1日5.7μg(2009年国民健康・栄養調査結果の概要)。一応、国の推奨量は超えてはいますが、さて、あなたはこれで大丈夫だと思いますか?
健康な成人198人を対象に、ウイルス性気道感染症(カゼやインフルエンザなど)と血中ビタミンD濃度の関係を調べたところ、血中濃度が38ng/ml以上の人は、38ng/ml未満の人よりも2.7倍罹患率が低く、罹病期間も短いという結果に(PLoS One; 14,5,6,e11088,2010)。血中濃度を38ng/ml以上に保つには1日25μg程度のビタミンDが必要とされます。
また、日本人の小学生334人を2群に分けて行った試験では、インフルエンザ予防を目的にビタミンDのサプリメントを1日48μgのみ続けた群と、ビタミンDを含まない偽のサプリメントを飲み続けた群のA型インフルエンザ罹患率は、前者が10.8%、後者が18.6%でした(Am J Clin Nutr;91,5,1255-60,2010)。
やはり私たちは、もっとビタミンDをとるべきなのです。
一番効率よくビタミンDがとれるのは魚です。知ってましたか?
100g当たりのビタミンD量が多いのはイワシの丸干し(50μg)、イクラ(44μg)、サケ(33μg)、サンマ(19μg)など。肉や野菜にはほとんど含まれません。
「ビタミンDが豊富なのはキノコでしょう」と思っている方、残念ながらキノコはビタミンD源として効率の良い食べ物ではありません。100g当たりでシメジなら2.2μg、シイタケは2.1μg。しかもキノコに含まれる植物性のビタミンDは、魚に含まれる動物性のビタミンDに比べて活性が低いと考えられます(J Clin Endocrinol Metab;電子版2010年12月22日、Am J Clin Nutr;84,694-7,2006)。
さあ今日から、紫外線対策と一緒に、毎日魚を食べることも習慣に!
毎日魚は食べられない、という人は、ビタミンDのサプリメントを利用するのも便利ですよ。
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