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Kenbiコラム

第23回
2011年、ヨーロッパで「抗酸化力で体を守ってくれる」という表示が認められた、美容にもいい、伝統的な食品とそれに含まれる成分があります。それは次のどれでしょう。
(1)トマトと [1月5日]

(2)のオリーブオイルとそのポリフェノールです。
 「オリーブオイルに含まれるポリフェノールがLDLコレステロールを酸化から守るのに役立つ」という健康表示が認められました。普通に料理に使う程度の量のオリーブオイルでポリフェノールの有効量1日5mgがとれるとされています(EFSA Journal 2011;9(4):2033)。

古くから地中海で愛されてきた食品が健康にも美白にも効く?!
 2011年、EU圏内で売る商品で「健康機能を表示したい」という申し出があった、いろいろな食品とその成分について、十分なエビデンス(証拠)があるかどうかを欧州食品安全機構(EFSA)が評価し、その結果が発表されました。
 その評価検証の結果、特定保健用食品(トクホ)にもなっていて私たちになじみが深い乳酸菌でも大豆のイソフラボンでも、"因果関係が確立されていない"などとして、申請された健康機能がすべて認められなかったのに、オリーブオイルでは上記の表示がOKとなったのです。

 効能が認められた、オリーブオイルに含まれるポリフェノールの名前はヒドロキシチロソール(またはオレウロペイン)。この成分は、例えばファンケルがその美白作用を確認して同社の美容サプリメントに配合していたり、痛みを抑える作用が医薬品に含まれる鎮痛成分・イブプロフェン並みに高いという報告(nature;437,45,2005)もあるなど、女性の美容と健康にうれしい作用を持っています。
 動物実験ではありますが、骨粗しょう症を防ぐという結果も(J.Agric.Food Chem;56,9417-9422,2008/図1)。

olivefigure1.jpg 欧州で公に効能が認められたことを受けて、今、世界でオリーブオイル人気が高まりつつあります。すでに、日本でも中国などでも市場が拡大中。
 オリーブオイルを調理に使うことで、野菜や魚など健康的な食材のおいしさが引き立つこともうれしい点のひとつ。
 2012年は、健康にも美容にもいいこの油のブームに火が注がれるかも。
 ただし、いくら健康美容にいいといっても油は油。食べ過ぎたら体脂肪になりますから、食べ過ぎにはご注意を。

明らかになってきた伝統的地中海食の健康パワーの理由
 オリーブオイルはヒポクラテスの時代から、胃腸の調子が悪いときに薬のように使用されたり、肌に塗ってマッサージをし、筋肉の痛みをとるといった使い方をされてきた「最高の薬」でした。現在でも地中海には、下痢やカゼなどで体調の悪いときにオリーブオイルを飲んだり、ちょっとした傷に塗ったりする習慣がある地域も。
 また、約40年前に報告された、米国の研究チームによる食習慣と心疾患に関する長期研究(「seven countries study」)で、和食と双璧をなす世界2大健康食の一つとされた、伝統的な地中海食の核をなす重要な食材でもあります。
 この研究で、オリーブオイルを多用する一方、肉をあまり食さず魚介類を多くとるギリシヤやイタリアの海岸地域では、心臓病の発症率が米国の3分の1以下だということが分かり、米国では1960年代の伝統的な地中海食をベースにした食生活指針が作られました。

 伝統的な地中海食の主な油源であるオリーブオイルの多くを占めるのがオレイン酸。n-9系脂肪酸と分類されるこの脂肪酸は、各種の病気の引き金になる炎症を抑える、心疾患のリスクを下げる、悪玉コレステロールを増やさないといった作用が指摘されていましたが、オリーブオイルには、それだけでは説明しきれない効能の可能性があるのではないかという声も長い間ありました。
 最新の医学研究によって、ついにそのパワーのわけが解明されてきたのです。今回EFSAが認めた効能の源が、オリーブオイルに含まれるポリフェノール、ヒドロキシチロソール。
 オリーブオイルにこのポリフェノールが豊かに含まれるのにはわけがあります。それは、この油(エクストラバージンオリーブオイル)が、オリーブの実を絞っただけの"生絞りジュース"だから。
 
 『変身物語』というギリシヤ神話でも、女神アテネが植えたオリーブこそが人に対する最高の贈り物、と礼賛されています。オリーブイルは、まさに地中海の神々の恵みなのです。
 
効くオリーブオイルの選び方
 ヒドロキシチロソールという有効成分がなるべく多いオリーブオイルの選び方があります。
 それは、テイスティングしたときに「ちょっとのどの奥がピリッとする」ものを選ぶこと。つまりこのポリフェノールは辛み成分。一般的には、"スパイシータイプ"とか"グリーン"などと呼ばれる早摘みで緑がかった色をしたエクストラバージンオイルに多く含まれます。たとえば、イタリア・トスカーナ地方のモライオーロ、スペインのピクアルといったオリーブにはこのポリフェノールが多いようです。
 また、このタイプのオリーブオイルには、冷蔵庫に入れると濁るという特徴も。

 健康や美容に有効とされる量は、だいたい、1日に大さじ2杯分くらい(20g~30g)を料理に使えばとれるようです。
 実は、ヒドロキシチロソールを果実より多く含むのが葉。いろいろなメーカーから「オリーブ茶」も発売されているので、興味のある方は探してみて。
 欧州では、11年末にアンチエイジングパワーを強化したオリーブオイルも登場して注目されています。それは、Costa d'Oroというメーカーの「Olisana K-Young」。30mlあたり、日本のメーカー、カネカのCoQ10が40mg、ビタミンDが2.1μg、ビタミンK2が31.5μg、ビタミンEが4.5mgが含まれています。まだ日本では発売が決まっていませんが、輸入は可能かもしれません。
 
2012年、女性におすすめの2大食材はこれ!
 最後にもう一つ、2011年、オリーブオイルのヒドロキシチロソール以外に、EFSAが効能表記を認めて話題を呼んだ成分が、大麦に豊富に含まれる水溶性食物繊維βグルカン。「1日に3g以上とるとコレステロール値が正常に維持される」という表記が可能に。
 大麦では、お通じ改善や内臓脂肪減少作用も確認されています(Plant Foods Hum. Nutr.:63,21-25,2008/図2)。詳しくは、現在発売中の『日経ヘルス』2012年2月号の64ページをご覧あれ!
 ずばり、今年注目の「ビューティ&ヘルシー」2大食材は、オリーブオイルと大麦です。

olivefigure2.jpg健康美容トレンド、コミュニケーションノウハウを学ぶ
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著者:西沢邦浩(にしざわ くにひろ)

日経BP社 プロデューサー

1961年長野県生まれ。小学館を経て、91年日経BP社入社。開発部次長として『日経エンタテインメント!』創刊や、マイクロソフト社との共同事業『日経BPソフトプレス社』の創業などに携わる。98年『日経ヘルス』創刊と同時に副編集長に着任。2005年1月より同誌編集長。2008年3月に『日経ヘルス プルミエ』を創刊し、同誌編集長を務める。2010年7月より日経BP社プロデューサーと関連会社(株)テクノアソシエーツ、ヴァイス・プレジデントを兼務。

著者:西沢邦浩(にしざわ くにひろ)

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